「公害を垂れ流して経済大国になった中国と富の占有率の拡大」

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中国のGDP/Capita右の図は、中国の一人当たりのGDPの推移を示したものです。21世紀に入って、中国は急速な勢いで経済発展をしていますが、これの意味するところは、言うまでもなく「エネルギー」と「資源の多消費」にともなうものです。
一人当たりのGDP(GDP/Capita)が示すように、経済的豊かさが飛躍的に伸びている一方で、中国は富の占有率(所得上位10%人口の資産が総資産に占める割合(%)※)の格差も広がっています。中国の富の占有率は、15年前の2000年には49%と、富の再分配が上手く行っていたと言えます。しかし、2014年には64%と跳ね上がっています。富の占有率の高い国は、他にも多く存在しますが、14年間と言う短い期間で富の占有率が進んだ国は、中国において他はないと紹介されています。

中国における富の占有率格差の拡大は、主要産業である石油、鉄鋼、化学、電力、繊維、銀行と言った国有企業が、21世紀に入って、相次ぎ国際証券取引所に上場したことが、その背景にあります。例えば、中国石油化工有限公司(中国三大石油会社の一つ)は2000年に香港、上海、ロンドン、ニュヨークの証券取引所に上場しています。宝山鋼鉄(山崎豊子氏の小説「大地の子」の舞台となった宝山製鉄所は、日本の支援で誕生した製鉄所です)は2002年に上海証券取引所に上場しています。多くの国有企業が上場したことによって、当該企業は多額の創業者利益を手中にしました。そして、これら企業の幹部(上級国家公務員や共産党幹部)は、自らの報酬額をつり上げ多額のお金を手にするようになり、大金持ちとなりました。これが富の占有率を大きく引き上げた原因です。

これら企業の経営者・幹部が、企業経営において社会的責任(CSR)感を持ち合わせていたならば、創業者利益は、それぞれの企業から排出される廃棄物(環境汚染物質)を適切に処理(公害防止対策)するために使われただろうと考えます。しかし、創業者利益は、企業経営者ならびに幹部の懐に向かいました。これが中国の環境汚染を深刻かつ長期化させている原因であると、私は考えています。つまり、富の占有率が高まったことは、富の再配分を誤ったことになります。中国は、2009年には日本を抜き世界第2位の経済大国となりましたが、環境問題は日本の1950、60年代頃と同じで、国土を汚染させ経済大国にのし上がった国と言えます。見方を変えると、日本の経験から極めて潜在的に大きな負の財産を抱えたことになります。

ご存知のように、日本も経済発展の過程で、最大の貿易相手国である米国と、1960年代後半に繊維分野での貿易摩擦を生じさせました。米国は、具体的に国名を上げませんでしたが「公害を垂れ流し続ける国が、市場経済に参入することは許されない」と、日本を間接的にけん制した経緯があります。日本の良いところは、このことを真摯に受け止め、急きょ政策転換を図ったことです。これが世に言われます1970(昭和45)年に開催された「公害国会」で、その後、公害防止に専念することになりました。残念ながら、今の中国に“モノを申せる”国家はなく、中国はやりたい放題です。大気汚染、水質汚染、土壌汚染、地盤沈下、騒音、振動、悪臭、日本ではこれらを「典型7公害」と呼んでいましたが、現在の中国はいずれの公害も深刻です。何故、環境汚染は改善されないのか、理由は以上縷々申し上げました通り、富の占有率の拡大、すなわち多くのリーダー達が、拝金主義に走ったからだと言うことができます。中国は日本が犯した轍を踏んでいます。日本は、米国から正されました。しかし、中国に公然と“モノを申せない”日本が情けない。私はそう感じています。なお、日本は富の再分配が最も進んだ国の一つで、2014年現在で占有率は48.5%です。世界一位はベルギーで、47.2%となっています。見方を変えれば、日本はベルギーとともに何処の国よりも社会主義的な国と言えます(※:「低欲望社会」大前研一著 p23、24参照)。

 

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