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食品の賞味期限の表記の変更について、この日本はどこかおかしい!

この一週間、7月4日の朝日放送の報道ステーションで、ニュースキャスターの古舘氏が、食品廃棄物の多さを、月当たり500~800万トンであることを紹介した。次いで7月7日のNHKのニュース・ウオッチ9では、大越キャスターが農林水産省の統計で年に5百数十~800万トンと紹介した。ニュースキャスターは、一般家庭で一人当たり1日どれだけのゴミが出されているのか、こうした廃棄物発生量のオーダー感覚をもった形で、統計数字の紹介をしたのかはなはだ疑問に感じた。私が印象に残っているのは、真山仁著「黙示」の中の324ページに、「飽食の国、日本」につて触れ、この中に日本は年間2,189万トンの食品廃棄物を出しており、これが世界一であることが書かれていた。ニュースではこうした数字とは、およそかけ離れた数値を紹介している。ちなみに、一人当たり一日の廃棄物量が約800g~1kgとすると、1kg/日は年間365kgのゴミが発生する。これに日本の人口1億2,700万人を掛け合わすと、365kg/年✖1.27✖108人=4.63✖1010kg/年となり、これをトンで表すと4.63✖107トンとなる。家庭ゴミだけでも4,630万トンのゴミが発生している。このゴミには、燃えないもの(金属片やガラス、陶器の欠片や、萌えるものとして食べ物滓としての厨芥類やプラスチックなどが混在している。家庭ごみの湿重要で最も多いのは厨芥類で約50%[1]を占めている。家庭ごみで食品ゴミの占める割合を考慮すると、生鮮食糧品の製造や惣菜を作る企業サイドの食品の売れ残り廃棄量が500~800万トン/年(月は誤りでしょう)は、如何にも少な過ぎではありませんか。

ちなみに、養豚場から排出される年間の廃棄物量はおよそ2,000万トン/年です(日本には約980万頭の豚が飼養されている)。食品廃棄物の量は、ほぼこの量に匹敵します。「飽食の国、日本」として紹介された”日本が世界一の食べ物を捨てている国で、その量が年間実に2,189万トンにも及ぶ”という方が、どうも正しい数字のように思います。ニュースを報道する人たちは、統計数字を発表する場合、オーダー感覚を持って情報を発信される責任があると考えます。提供される統計値について、自分で検証するくらいことはやられるべきです。大切なメッセーを国民に向け行って発しているのですから。農水省によればではなく、その読み上げる数字の妥当性、少なくともオーダー感覚を持っていただき、対応を願いたいものです。

なお、私は賞味期限の表記の問題を問うより、造り過ぎの問題を指摘しても良いと考えます。日持ちしない生鮮食料品や惣菜類を、ロスなく生産・販売する新しい仕組みの検討が急がれます。ものづくりでは、余分な材料や部品などを在庫として抱えない、下請け会社が必要な時間帯に工場に届ける、しっかりタイムマネジメントを行いロスの少ない生産活動を実現しています。代用的な事例として、トヨタのカンバン方式≒”ジャストインタイム”があります。消費者のニーズする量あるいは消費量に合わせ、食品の製造あるいは惣菜の生産に取り組める仕組み、あらかじめインターネットで注文を取る、それに基づき生産に取り掛かること、ネット社会では可能になっています。テレビで双方向のコミュニケーションが可能な時代です。食材を無駄なく生産し、利用していただく仕組みづくりは、そんなに難しいことではないと考えます。

賞味期間の表記のあり方は、木を見て森を見ない付け焼刃的な手法にしか聞こえません。世界一食べ物を無駄にしている国、その汚名を払拭するには、食糧生産から流通、そして二次加工ならびに消費までのプロセスまでの革新を起こす時代が到来したと考えます。食べ物は相対的に付加価値が低い、したがって、若者はこの世界に魅力ある労働の姿があると見ていません。漁業、畜産から野菜、果物づくり実態を見ると、その大変さに多くの若者は敬遠します。そしてそれを加工する世界も同様です。人件費の安価な国や地域で大量に作られている。消費者はそれを焼くなり熱を加えるだけ。そうしたことをも省き、現在では電子レンジで「チン」で済まされます。食品を大切にしようとする動きを作り出すことも必要でしょうが、それよりも食材の絶対量を大量に確保し、これを加工する側ほうが、食品の無駄を初めから作り出していると見るのが妥当だと考えます。自由主義経済の下、儲かると見れば消費側のキャパシティーも考えずに大量生産に走る、この実態の改善が、賞味期限の表記を議論するより先決事項であると、私は考えます。

みなさんもご存知のように、スーパーマーケットやデパ地下の生鮮食品や惣菜売り場では、閉店間際になると、1時間前の製品価格の半値に下げ、売りきろうと大声を張り上げ消費を煽っています。捨てるよりは買い取っていただき、消費していただきたい。良い試みだとは思いますが、売れずに多くの生鮮食料や惣菜がウインドウに残っている姿も多々拝見します。これらはどうなるのか、当然廃棄でしょう。安く売りきろうとすることは良いことだと思いますが、それでも多くの食品が売れ残る。やはり、消費量に見合う生産システムの構築が急がれると考えます。需要と供給のバランスを考えた、生産と流通システムのあり方を、これは国家として取り組むべきだと、私は考えます。ICTの発達した今日、例えば航空券についてはネットで70%が買われているといいます。閉ざされた系を考えた場合、需給バランスのコントロールは容易です。どうでしょうか、都市における食品の売買量は既にデータとしてあると考えます。多少のアロワンス持ったものづくり。そろそろ競争の原理を見直さないと、少なくとも食の公平な分配は難しいと考えます。

年間、2,000万トンの食品廃棄物の発生は以上です(物質循環と環境汚染問題にも通じるテーマです)。

 

[1] http://www.tokyokankyo.jp/kankyoken_contents/archive/solidwaste/waste/h07-fine.pdf

 

パリ協定と世界秩序の矛盾

地球温暖化対策を真剣に進めるその背景に、とんでもない落とし穴があるとするなら、私たちはどのような行動をとるべきでしょうか。この後、「パリ協定」「ESG」「座礁資産」、さらに深く「パナマ文書」について触れようと考えていますが、結局、国ならびに経済活動のあり方を掘り下げることになります。それには、タックスヘイブンと言う闇(例えば、テーブルの上で1ドルの支援を申し出るが、アンダーテーブルでは10ドルを引き抜くやり方)に触れないわけにはいかないということです。経済と環境保全対策は切っても切れない関係にあります。どうも「パマ文書」は、“大規模”による負の経済活動を進めている実態が、この地球上にあることを証明することになりそうです。こうした負の実態の解明と、世界の経済社会の仕組みを徹底的に作り直さなければ、私たちは、地球を守ることは極めて難しいと考えます。

http://os-lab.info/wp/wp-content/uploads/2016/09/8a6c85fe1cb6565eef54f6319da124bd.pdf

「パリ協定」を考えるに当たっての世界秩序における矛盾

  1. 「パリ協定」を考えるに当たっての世界秩序における矛盾

2015年12月12日、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、参加国196カ国が「パリ協定」を採択しました。2016年4月22日には、ニューヨークの国連本部で同協定の署名式が行われ、参加した国は175カ国に達しています。序文で紹介した通り、この時同時に「パリ協定」に批准した国は、海面上昇による水没の恐れある島嶼国など15カ国でした。その後、9月4日に中華人民共和国の浙江省の省都杭州市で行われた首脳会合G20の前に、米国と中国が「パリ協定」への批准声明を発表しました。世界の2大GHG排出国が批准したことから、「パリ協定」の発効も2016年内に成立する可能性が極めて高くなったと言えます。以下詳しくは、アドレスをクリックしてください。

http://os-lab.info/wp/wp-content/uploads/2016/09/c9ae351368173820ad920aa27c01e2fa.pdf

私たちの世界が抱える課題を考えるためのキーワードについて

サブタイトル:まもなくの「パリ協定」の発効を迎えて

現在の世界の問題を考えるに当たって、心得ておくべきキーワードについて、筆者の思いつくままにいくつか挙げてみたい。

その一つ目が、「ヴェストファーレン条約」に関連する世界秩序の問題である。中国や北朝鮮あるいは、現在の中東で起こっているイスラム過激派等による紛争などを考えると、1684年に「カトリックとプロテスタントによる30年に亘る宗教戦争に終止符が打たれ、条約締結国は相互の領土を尊重し内政への干渉を控えることが約束された」この条約に沿って、多くの国々は国家運営を進めているようだ。つまり秩序を重んじることが優先されなければ紛争はなくならない。ここで中国の例を挙げると、一党独裁で、国内では徹底した情報統制が敷かれており、加えてウイグルやチベット地区では民族紛争が、そしてネパール国境などにおいては国境紛争が絶えない。また国際法上領有権の権利は無いことが、国際裁判で判決が下った南シナ海における中国の動き、さらに東シナ海においても日本に対する覇権的な動きは、世界秩序を乱す姿そのものであ。

以下のキーワードについては、次のアドレスを参照されたい。

: http://os-lab.info/私たちの世界が抱える課題を考えるためのキーワ/まもなくの「パリ協定」の発効を迎えて160905:

 

 

 

 

 

 

-動き出したパナマ文書の解明-

資本主義経済システムの改善を急がないと地球環境は崩壊する

  1. 典型的な環境破壊は石油や鉱物資源の採掘にあり

いまさら言うことではないかも知れませんが、私達が受け入れている資本主義経済システムは、言い換えれば自然収奪型システムであり、地球環境を守るどころか破壊を促進するシステムだと、私は考えます。1989(平成1)年に東西冷戦の終結とともにベルリンの壁が壊され、東側に属していた国々が、西側の目覚ましい経済発展の実態を見て、我も我も豊かになろうと、資本主義経済システムに乗って自然資源の収奪に励み、かれこれ27年になります。冷戦終結前に資本主義経済を進めていた人口は12億人だったのが、今やブリックス(BRICS)が加わり40億人に、さらに他の発展途上国も加わることで、ざっと4倍の50億人に達しています。したがって、地球の自然資源の収奪が加速される状況に至っています。

自然資源の収奪の代表的事例としては、エネルギー源である石油や天然ガスの採掘、あるいは各種鉱物資源など有用な地下資源の採掘が挙げられます。中でもエネルギー源としての石油や天然ガスの採掘量は、桁違いに増加しています。この他、金、銀、銅などの金属資源に加え、レアメタルなど希少金属の採掘量も急拡大しています。金属の中でも最も価値のある金の採掘は、例えばグラム当たりの尾鉱(テーリング、廃石、ズリ)[1]が1トン以上にも達するようです。極めて深刻な環境破壊を起こしている一事例です。レアアースメタルを始め有用な金属資源の採鉱は、掘り起こした場所の修復を施すことはなく、掘りっぱなしの状況にあり、雨が降れば土石流となって山を削り、森林をなぎ倒し、家屋を押し流し、河川を汚染し、水生生物や農作物などにダメージを与えると言った、環境に多大な被害もたらしているのが現状です。

日本における採鉱による環境破壊の代表事例として、足尾銅山による鉱毒事件(1878年)[2]が挙げられます。これは、明治から昭和にかけて続いた深刻な公害問題でした。

今日では、先進国における採鉱はすでに資源量は少なくなり、もっぱら途上国の資源に依存しているのが実態です。先進国で生産活動を続けている鉱山は、厳しい環境規制の監視のもとで進められています。ところが発展途上国では、環境規制の整備が遅れ、殆ど野放しの状況で採掘が行われていることから、前述した通り深刻な環境破壊が進んでいるというのが実情です。途上国に先進国並みの環境規制を求めると、先に豊かになった国の差別的な要求であると考えられ、受け入れることはできないという姿勢が示されるようです。先進国との経済発展の格差が、こうした事態をもたらしていると言えます。これでは、地球環境を保全するどころではありません。つまり、資本経済活動が比較優位・劣位の上で成り立っているという前提に立てば、先進国にとって発展途上国は、比較劣位の生産国として都合の良い存在と言えます。 

  1. 租税回避は環境保全投資に後ろ向きの姿

企業活動が国際化したことにより、コーポレートインバージョン(外国に親会社を作ること)により、事業活動の取引決済のあり方がより優位な国(オフショア≒タックスヘイブン≒租税回避地)を利用することで、利益の最大化を図りやすくなっています。つまり、それぞれの企業における納税のあり方も、コーポレートインバージョンを利用した決済手法を取ることで、当該企業が母国へ本来納めるべき税金を低く抑えることが可能です。母国に納める税金が少ないが故に、企業総体としてはより多くの利益蓄積が可能となる仕組みを利用しているのが、多国籍企業の現状と解釈できます。ちなみに、米国における実効税率は40.75%ですが、グーグルやスターバックスといった企業は、米国で支払っている支払い 税率は20%を大きく切っているのが実情です。これは日本とて同じで、図-1に上場100企業を対象にした2014年3月期の支払い税率実績を示したものです。当時の法定正味税率は34.62%で、米国に次いで税金が高い国と言われていました。この図から、実際に支払った税率が20%未満の企業数が40社(40%)、この内、支払っていない企業が4社、1%未満の企業が10社も存在しています。法定正味税率を満額払った企業は果たして何社あったかは定かではありませんが、30%台の税金を支払った企業が20社あったことになります[3]。いずれにしても、国は企業から法定税率を満額徴収することが難しいことを示しています。ちなみに、2016年の日本の法定正味税率は29.97%と、30%を割っています。

何故このようなことが起こっているのか、コーポレートインバージョンやダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ[4]といった手法で、租税回避が可能であることを利用できているのがこれまででした。これら行為がコンプライアンスとして認められるかどうか、多分にグレーであるとの見方から、現在、多くの国々でこの問題の解明に乗り出しました。パナマ文書は、企業、個人の租税回避手法や、マネーロンダリング等の実態が克明に書かれた機密文書で、このことから、企業活動のあり方が、すなわち資本主義経済システムそのものが、根本的に見直される必要性が指摘されるのではないかと見ています。 

  1. ベルリンの壁崩壊後のボーダーレス資本経済活動システムのあり方が激変

資本主義経済システムが自然収奪的なやり方であること、経済活動がボーダーレスになり、コーポレートインバージョン等の手法を使うことで、租税を回避するやり方が常習化している実態を考えると、それぞれの国家は、本来得るべき税金徴収額の捕捉が極めて不安定であることを証明しました。したがって、この事実を考えると、環境保全活動を促進すべき十分な資金(予算)の確保は、難しくなったというのが現実です。現在、世界の国々の環境保全活動への取組みを見ると、利益の使い道として、より事業拡大を追い求めるために使っているのが実際です。見た目では明らかに利益を生み出さない環境保全への取組みは、自ずと縮小されてしまうのが現実のように思います。ボーダーレス、ネット社会、国間の格差拡大は、環境保全活動をないがしろにする傾向が必然的な流れと見るのが妥当だと考えます。したがって、地球人類が本当に地球崩壊の危機を免れるには、現在の資本主義経済システムの徹底的な見直しが鍵と考えます。

[1] 谷口正次著「資源採掘から見る環境問題」p239

[2]「足尾鉱毒事件」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%B3%E5%B0%BE%E9%89%B1%E6%AF%92%E4%BA%8B%E4%BB%B6 

[3] 「高い法人税は実情とかけ離れている」http://editor.fem.jp/blog/?p=675

[4] 渡辺哲也著「パナマ文書」p44、p69

租税回避地(タックスヘイブン)の仕組みと地球環境問題への取組みの無力化

1.日本企業における“タックスヘイブン”の利用業と格差社会の拡大

ニコラス・ジャクソン著の「タックスヘイブンの闇」は、2年前に読み終えました。私はある意味で、資本主義経済の実態を全く知らなかったことに気づかされました。資本主義経済の実態を知るには、日本国内だけで事業していても分からない。海外で生産活動やセールスをする過程で、財務をどのように処理すれば最大利益が得られるのか、稼ぐ方法としては多様であることを、この本は教えてくれました。タックスヘイブンは、パナマ文書によって、すでに多くの人の知るところとなりました。日本語では「租税回避地」と呼ばれていますが、企業にとって誠に都合の良い仕組みが、全世界に散らばって存在しているものです。資本主義経済は利益の最大化を求めているが故、国によって税制が違うくらいは誰でも知っていたでしょうが、材料の仕入れにおいてそれを最大限にコストとして受け入れてくれる国があり、利益については最小限の課税で済む国がある。世界で活躍する多国籍企業にとって、この仕組みを使わない手はないと、誰もが考えることです。優れた財務マンとは、こうした世界の多様な財務処理を利用し、利益を最大に持って行く者を言うのでしょう。

租税回避地を利用したビジネスが、直ちに違法という訳ではありませんが、本来は本国でもっと税金を納めることが可能なのに、これを他国に留めて蓄財を図る。資本主義経済が利益最大を追い求める制度であるならば、当然、租税回避地を利用することは「有り」と言えます。これはケイマン諸島だけの日本企業のケースですが、日本の上場会社のうちの45社は同地を租税回避地として利用していて、その額はざっと55兆円に達していると説明されています[1]

どの企業のCSR室でも、「弊社はコンプライアンスに沿って事業展開を図っていますよ」と、答えられると思います。法には従っていますが、タックスヘイブンを効果的に使って、本国での節税を実現し、利益を最大にしています。すでに多くの学者が、資本主義経済システムは修正が必要だと説いています。米国は、1%の人間が99%の経済を握っていると言われています[2]。全世界で富の偏在、すなわち格差社会が拡大している。タックスヘイブンに見られるように、経済の仕組みに大きな課題があるとの見方が強まってきているのは、間違いないと私は考えています。 

2.米国の巨大企業の破綻ならびに日本企業の破綻がもたらした新たな波紋

米国の巨大企業であったエンロン[3]は、もともとは天然ガスのパイプライン会社として設立され、エネルギー需要の拡大に伴い急成長を遂げ、世界最大級のエネルギー卸売会社の登りつめました。しかし、売上高12兆円の絶頂期に、子会社との癒着、関連会社との不正経理や取引が明るみとなり、2001年12月に経営破綻を迎えました。負債総額は2兆円に及び、失業者は何と2万人にも達しています。米国の大企業の不始末はこれにとどまらず、国際通信会社の大手であったワールドコムも、企業の再編に失敗し、2002年に経営破綻に至っています。負債総額は、エンロンをはるかに上回る約4兆7千億円でした。

これら、エンロンやワールドコムの経営破綻により、企業の財務内容の透明性が強く求められ、企業の“コンプライアンス”や“説明責任”あるいは“ガバナンス”が厳しく問われるようになりました。これが企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)を明らかにする、自主的な情報公開制度に発展してきました。CSRは、もともとは企業の環境保全への取組みを重視したものでしたが、1997年にグローバル・レポーティング・イニシアティブ(Global Reporting Initiative:GRI)というNGO組織が、米国の非営利団体のセリーズ(CERES:Coalition for Environmentally Responsible. Economies)と国連環境計画との合同事業として設立され、企業の社会的責任レポートのガイドライン、すなわちGRIガイドラインの第1版を2000年6月に発行しました。現在では上場企業のすべてが、このレポート書式に従ったCSRレポートを一般公開しており、2013年現在、第5版が発行されています[4]

筆者の認識では、GRIガイドラインによる企業の社会的責任レポートが出される以前に、ISO 14001(環境マネジメントシステム)に従って活動していた企業の環境保全活動実績が、環境報告書としてまとめられ、一般公開されていたと見ています。日本の企業がISO 14001の認証取得を始めたのは、品質の国際規格(ISO 9001)の教訓から、1996年に発行されると同時に認証取得に動き出した実績があります。ISO 14001規格の認証取得件数は2009年がピークで約39,500件、2011年には26,700件と、32%も減少しています[5]。 この背景には、日本の中小企業の環境保全活動への取組みが低減してきたことが、大きな要因としてあると考えられます。ISO14001に伴う「環境報告書」が盛んに作られたのは、1997年から2002年頃までの5年間で、2003年以降は「CSRレポートが」が主流となってきています[6]

エンロンやワールドコム、あるいは日本における大手証券会社の山一証券の倒産(1997年)や鐘紡の倒産(2003年)等に伴い、CSR室は、当初は企業の環境保全活動に力を入れ、その成果を環境報告書として、主に紙媒体として広く公開していました。しかし、先のGRIへの認識の高まりに加え、環境保全活動の側面だけでは企業の責任を明らかにすることは不十分との認識の高まりが、経済的側面、さらには社会的側面、つまり企業総体の実績を簡潔にレポートする責任があるとされ、経済、環境、社会の3つの要素(トリプルボトムラインという)を含んだ「CSRレポート」、あるいは「環境社会レポート」という形に変わってきました。このレポートの性格として、環境保全への取組みに重きを置きつつも、経済的側面や社会貢献(コミュニティーへの参加等)の活動実績も取り込まれるようになってきました。

3.日本の多国籍企業のCSR室は2つの顔を持つ

筆者は、日本の企業で世界で活躍している多国籍企業のCSR室には、2つの顔があると常々思っていました。その一つは国内向けの顔で、二つ目は海外向けの顔です。

世界に進出した日本企業は、世界的なNGO、NPOによる厳しい目が注がれています。もちろん、これは日本企業だけに向けられたものではありませんが、事業の操業実態を常に厳しくチェックされており、例えば、児童労働問題や劣悪な環境での労働について、強い監視の目が注がれています。違法な行為が認められると、その情報はNGOによって瞬く間に世界に発信されます。多国籍企業は、海外における対応スタッフと、国内で環境問題や社会活動を進めているスタッフとでは、大きな緊張感の違いがあります。果たして日本のCSR室のスタッフは、「タックスヘイブン」のことを知っていたでしょうか。これはおそらく、CSR室が取り組むテーマではなく、財務や企業内の特殊なチームが取り扱っていたテーマだと考えます。

タックスヘイブンを利用したビジネスが、直ちに違法という訳ではありません。コンプライアンス上は問題なくても、タックスヘイブンが造り出す莫大な企業利益は、倫理的な側面からはどうなのか、新たな課題として持ち上がったテーマだと言えます。前述した通り、日本の上場企業でケイマン諸島におけるタックスヘイブンを使用している企業は45社に及び、その額も55兆円と高額です。また、米国の1%の人間が、99%の経済を握っているという実態を見れば、全世界における格差社会が、加速度をつけて広まっていると見ることもできます。

4.資本主義経済社会における「パリ協定」は、画餅に過ぎない危険をはらんでいる

2015年12月に「パリ協定」が採択されました。地球温暖化対策に向けて、米国と中国が合意し、これは画期的なことと世界の関係者は喜んでいます。しかし、喜ぶのはまだ早いと考えます。まず、京都議定書が採択されてから発効されるまでには、7年も掛かりました。この経験を踏まえると、「パリ協定」が実際に発効するまで、まだ道のりは遠いと考えています。加えて、何故このタイミングで”タックスヘイブン”(租税回避地≒パナマ文書)という大問題が発覚したのでしょうか。私達が合理的であると受け入れた資本主義経済システムでは、早晩、地球上の人類ならびに多くの生物が大きなストレスを抱えることになり、必然的にカタストロフィーを迎えるということの警鐘と読み取れなくはありません。自然収奪型経済システムの終焉のテーゼとして、タックスヘイブンが露見したと見られなくもありません。

イギリスのNGO組織が進めるカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)や、グリーンピースが進める環境問題への尋常ではない抵抗活動等、これらはタックスヘイブン問題のカモフラージュとして、位置付けられた活動なのでしょうか。日本のNGO、NPO組織が、薄給をものともせず頑張っている姿を見ると、現在の企業活動≒経済活動は根本的に見直されなければ、早晩、地球崩壊は免れないのではないか、と気掛かりなのは私だけでしょうか。

[1] http://editor.fem.jp/blog/?p=675

[2] 「Newsweek」http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2013/09/99-1.php

[3] 「エンロン」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%B3

[4] 「GRIとの連携GRIガイドラインの理解と普及」http://www.sustainability-fj.org/gri/

[5] 「環境問題の自主的取り組み」https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2013_11.pdf 74

[6] 「日本工業標準調査会 標準部会・適合性評価部会 中間とりまとめ」http://www.meti.go.jp/press/2013/04/20130430002/20130430002-3.pdf