地球温暖化対策に配慮した日本の農業の在り方を考える

-地球温暖化対策に配慮した日本の農業の在り方を考える-

-露地栽培を補完する完全制御型木造植物工場建設の時代到来-

  1. はじめに(温暖化に伴う異常気象が頻発)

2013年9月中旬の台風18号は多大な被害をもたらし、日本政府はこの災害を「激甚災害」に指定した。同台風による被害状況は未だ詳細には明らかにされていないが、農地や農業用水路等の農業関連の被害は、京都府と滋賀県で10億円以上になり、全国では42億円を超える見込みであることが、9月27日のNHKニュースで紹介された。

ところで、日本における2013年度の初夏から初秋にかけて、長雨、豪雨、気温上昇、強風(竜巻)等の異常気象が頻発した。それをまとめたのが表-1(出典:日本経済新聞2013年9月3日号)である。

表-1 2013年5月~9月にかけて発生した異常気象

月 日

異常気象の内容

5月24日

  • 大分県日田市で今年全国初の猛暑日

6月13日

  • 33地点/927地点で猛暑日。6月最多

7月8日

  • 山梨県甲州市などで今年初の38度超を記録

9日

  • 〃甲州市で今年初の39度超を記録

10日

  • 猛暑日が今年初の100地点を超えた

11日

  • 140地点で猛暑日。7月最多を記録

28日

  • 山口、島根両県で「特別警報」(※)相当の大雨

8月9日

  • 秋田、岩手両県で特別警報相当の大雨。猛暑日が今年初の200地点越え

10日

  • 甲府市と高知県四万十市で40.7度。40度超えは6年ぶり

11日

  • 297地点で猛暑日。今年最多

12日

  • 四万十市で国内観測史上最高の41.0度を記録

13日

  • 四万十市で4日間連続の40度超え

16日

  • 754地点で真夏日。年度最多

24日

  • 島根県西部で特別警報相当の大雨

26日

  • 53日ぶりに猛暑日ゼロ

9月2日

  • 埼玉県越谷市、千葉県野田市で竜巻が発生

4日

  • 徳島市、名古屋市、栃木県矢板市で特別警報相当の大雨。

16日

  • 台風18号愛知県豊橋市に上陸

   ※:気象庁は、2013年8月30日(金)に「特別警報」の運用を開始した。

これまで、大雨、地震、津波、高潮などにより重大な災害の起こるおそれがある時に、警報を発表して警戒を呼びかけていたが、今後は、この警報の発表基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合、新たに「特別警報」を発表し、最大限の警戒を呼びかけることになった。

  以上のような頻発する異常気象現象について、NHKをはじめ日本の主だったマスコミは、これらの要因が温暖化によるものであるとの説明に極めて慎重で、最近になってようやく発せられるようになってきたと感じたのは、私だけではないと考える。

  それもそのはず、9月28日の日経朝刊の第1面に『温暖化「極端な気象」頻発』の見出しに続き、第3面には27日にストックホルムで開かれていた国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の会合で、第5次評価報告書に盛り込む研究成果についての協議が行われた。その結果、次の①~⑤が評価報告書に取り上げられることが決定され、2013年10月1日にリリースされた。

  1.  温暖化は人間活動に起因する可能性が95%以上に達する
  2. 温室効果ガスの濃度は少なくとも最近80万年で前例のない水準に達した(2013年5月にハワイのマウナロア観測所で、CO2濃度が400ppmを記録)
  3.   二酸化炭素濃度は産業革命から40%増加した
  4.  今世紀末の平均気温が0.3~4.8℃上昇
  5.  今世紀末までに海面が26~82cm上昇

この第5次評価報告書は、見方を変えれば、このままでは“温暖化地獄”は避けられない状況にあることを示唆するものである。

  いみじくも日本において、この1年間で起こった様々な自然災害(猛暑、豪雨、竜巻、強大化し台風等)は、明らかに温暖化がもたらした事象であったと言えよう。以下、論文を添付したので参照されたい。地球温暖化と植物向上の役割131014修正


 

琵琶湖博物館の見学と世界の湖沼における水問題

10月4日、琵琶湖博物館の見学と滋賀大学環境総合研究センター中村特任教授による「世界の湖沼流域ガバナンスの強化に向けて」を受講:以下、復習を兼ねて少しメモってみした。写真は、水族企画展示室ビワマス?の魚群です。博物館の展示内容は非常にきめ細かく、大人も子供もとても勉強になる良くできた施設だと感じました。琵琶湖は、関西方面の約1,200万人の水瓶で、高度経済成長期に深刻な水質汚染に見舞われ、1977年には淡水赤潮(黄色鞭毛藻ウログレナアメリカーナ)が大発生。2年後の1979年に琵琶湖富栄養化防止条例(主にリン、窒素の排出規制)を制定し、水質改善に乗り出し、今日では見違えるように良くなっています。博物館には小学生が社会見学を兼ねた環境学習目的でしょうか、大勢が来館しとても賑やかでした。子供達には水が生物の多様性維持に不可欠な環境資源であることを実感してもえればと思いつつ、甲高い声が響く館内を見て回りました。私たちが許される観覧時間は1時間と短く消化不良でしたが、推奨に値する施設だと思いました。この後、滋賀大学の中村特任教授からは、世界の発展途上国の主な水源である湖沼が深刻な汚染と水不足に陥っている状況のレクチャーを受けた。

事例①インドのプシュカル湖(ヒンズー教の聖地)では、沐浴など宗教的儀式で使用する人工湖の水が干上がってしまい、応急的にプールを作り対応している実態を。

事例②マレーシアンのチニ湖ではパパン川水系とチニ湖を結ぶ間に堰を設けたことにより、流入する土砂で水質が悪化、蓮の群生が消滅するなど水質悪化が深刻となっている。

事例③フィリピンのケースでは、セブンレークス湖の魚の養殖よる水質の悪化、また、ミンダナオ島のラナオ湖については、マラウイ市政府とイスラム過激派とがラナオ湖からイリガン湾に注ぐアグアス川流域の水資源開発(水力発電等)めぐり紛争が起きている。うがった見方かも知れないが、この紛争の要因にはイスラムと政府組織との対立ように思われる。

事例④:ケニアのフラミンゴで有名なナクル湖の問題は、急速な都市化により森林伐採と破壊に伴う、汚濁水ならびに都市下水(河川に投棄されたゴミ問題を含む)が湖へ流入、下水処理施設を作っても、施設された下水道管の破損等により汚水の流入が止まらず、湖の水量の減少とともに汚染の深刻度が増すばかりの状況にある。ちなみに、下水道施設はJICAプロジェクトで造られたもので、日本サイドとしては、相手国の持つ様々な事情により、これ以上は関わりたくない、との説明を受けた。ただし、研究者として意識は別であるとの理があった。

世界における水問題については、スティーブ・ソロモン著の「水が世界を支配する」(Water The Epic Struggle for Wealth, Power, and Civilization)に詳しい。

「気候変動」「温暖化」「水」「食糧」は、私達の世界が抱える4大課題である。地球資源の恵みを、世界の人々が等しく受けることは現実的には難しいと説明されている。特に、水資源の確保は極めて難しさが伴っています。開発途上国の識字率の問題、宗教や思想的な対立は難しさを極めている。こうした解決手法の形として「サブナショナル(副・国家)パワー」(「2030年世界はこう変わる」より)の存在に注目が集まっている。今日では国家の機能や国家がカバーできない範疇の分野について、下位的・副次的な組織(NGO、NPO等)が成長を見せ、貢献度合いが増しつつある。こうした組織は、組織の社会的責任(ISO26000)について、深い理解を高め、様々なガバナンス(例えば、水をめぐっては流域ガバナンスが強調されている)、コンプライアンス、地域社会への参画、貧困・飢餓の撲滅、またマイクロファイナンスなどに見る女性の社会進出支援など、高潔性を持って取り組む団体も出てきている。一方、ニコラス・ジャクソン著「タックスヘイブンの闇」では、先進国が開発途上国における表向きの1ドルの支援は、アンダーテーブルでは10ドルを引き出すという援助が行われ、開発途上国が貧困から脱出できないおきな要因として紹介している。

世界の多くの開発途上国で起こっている複雑で深刻な問題は、当該国家がその解決を果たすことが難しいことから、「サブナショナル・パワー」の存在を期待しているようだ。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団、アムネスティ・インターナショナル(AI)、セーブ・ザ・チルドレン(SC)、国境なき医師団、国際連合児童基金(ユニセフ)、世界自然保護基金(WWF)等々、国連憲章に基づくNGO、そうでないNGOと、少なくとも世界で100以上の組織が存在する。

今回の琵琶湖博物館でのレクチャーは、開発途上国における水問題の解決の難しさの一端を知る良い機会であった。中村特任教授も述べていたが、研究者としての関わりには限界があり、どうしても政府や民間ならびにNGO、NPO組織等の協力なしには、成果を作り出すこが難しいとの感想を述べていた。