パリ協定と世界秩序の矛盾

地球温暖化対策を真剣に進めるその背景に、とんでもない落とし穴があるとするなら、私たちはどのような行動をとるべきでしょうか。この後、「パリ協定」「ESG」「座礁資産」、さらに深く「パナマ文書」について触れようと考えていますが、結局、国ならびに経済活動のあり方を掘り下げることになります。それには、タックスヘイブンと言う闇(例えば、テーブルの上で1ドルの支援を申し出るが、アンダーテーブルでは10ドルを引き抜くやり方)に触れないわけにはいかないということです。経済と環境保全対策は切っても切れない関係にあります。どうも「パマ文書」は、“大規模”による負の経済活動を進めている実態が、この地球上にあることを証明することになりそうです。こうした負の実態の解明と、世界の経済社会の仕組みを徹底的に作り直さなければ、私たちは、地球を守ることは極めて難しいと考えます。

http://os-lab.info/wp/wp-content/uploads/2016/09/8a6c85fe1cb6565eef54f6319da124bd.pdf

「パリ協定」を考えるに当たっての世界秩序における矛盾

  1. 「パリ協定」を考えるに当たっての世界秩序における矛盾

2015年12月12日、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、参加国196カ国が「パリ協定」を採択しました。2016年4月22日には、ニューヨークの国連本部で同協定の署名式が行われ、参加した国は175カ国に達しています。序文で紹介した通り、この時同時に「パリ協定」に批准した国は、海面上昇による水没の恐れある島嶼国など15カ国でした。その後、9月4日に中華人民共和国の浙江省の省都杭州市で行われた首脳会合G20の前に、米国と中国が「パリ協定」への批准声明を発表しました。世界の2大GHG排出国が批准したことから、「パリ協定」の発効も2016年内に成立する可能性が極めて高くなったと言えます。以下詳しくは、アドレスをクリックしてください。

http://os-lab.info/wp/wp-content/uploads/2016/09/c9ae351368173820ad920aa27c01e2fa.pdf

私たちの世界が抱える課題を考えるためのキーワードについて

サブタイトル:まもなくの「パリ協定」の発効を迎えて

現在の世界の問題を考えるに当たって、心得ておくべきキーワードについて、筆者の思いつくままにいくつか挙げてみたい。

その一つ目が、「ヴェストファーレン条約」に関連する世界秩序の問題である。中国や北朝鮮あるいは、現在の中東で起こっているイスラム過激派等による紛争などを考えると、1684年に「カトリックとプロテスタントによる30年に亘る宗教戦争に終止符が打たれ、条約締結国は相互の領土を尊重し内政への干渉を控えることが約束された」この条約に沿って、多くの国々は国家運営を進めているようだ。つまり秩序を重んじることが優先されなければ紛争はなくならない。ここで中国の例を挙げると、一党独裁で、国内では徹底した情報統制が敷かれており、加えてウイグルやチベット地区では民族紛争が、そしてネパール国境などにおいては国境紛争が絶えない。また国際法上領有権の権利は無いことが、国際裁判で判決が下った南シナ海における中国の動き、さらに東シナ海においても日本に対する覇権的な動きは、世界秩序を乱す姿そのものであ。

以下のキーワードについては、次のアドレスを参照されたい。

: http://os-lab.info/私たちの世界が抱える課題を考えるためのキーワ/まもなくの「パリ協定」の発効を迎えて160905:

 

 

 

 

 

 

-動き出したパナマ文書の解明-

資本主義経済システムの改善を急がないと地球環境は崩壊する

  1. 典型的な環境破壊は石油や鉱物資源の採掘にあり

いまさら言うことではないかも知れませんが、私達が受け入れている資本主義経済システムは、言い換えれば自然収奪型システムであり、地球環境を守るどころか破壊を促進するシステムだと、私は考えます。1989(平成1)年に東西冷戦の終結とともにベルリンの壁が壊され、東側に属していた国々が、西側の目覚ましい経済発展の実態を見て、我も我も豊かになろうと、資本主義経済システムに乗って自然資源の収奪に励み、かれこれ27年になります。冷戦終結前に資本主義経済を進めていた人口は12億人だったのが、今やブリックス(BRICS)が加わり40億人に、さらに他の発展途上国も加わることで、ざっと4倍の50億人に達しています。したがって、地球の自然資源の収奪が加速される状況に至っています。

自然資源の収奪の代表的事例としては、エネルギー源である石油や天然ガスの採掘、あるいは各種鉱物資源など有用な地下資源の採掘が挙げられます。中でもエネルギー源としての石油や天然ガスの採掘量は、桁違いに増加しています。この他、金、銀、銅などの金属資源に加え、レアメタルなど希少金属の採掘量も急拡大しています。金属の中でも最も価値のある金の採掘は、例えばグラム当たりの尾鉱(テーリング、廃石、ズリ)[1]が1トン以上にも達するようです。極めて深刻な環境破壊を起こしている一事例です。レアアースメタルを始め有用な金属資源の採鉱は、掘り起こした場所の修復を施すことはなく、掘りっぱなしの状況にあり、雨が降れば土石流となって山を削り、森林をなぎ倒し、家屋を押し流し、河川を汚染し、水生生物や農作物などにダメージを与えると言った、環境に多大な被害もたらしているのが現状です。

日本における採鉱による環境破壊の代表事例として、足尾銅山による鉱毒事件(1878年)[2]が挙げられます。これは、明治から昭和にかけて続いた深刻な公害問題でした。

今日では、先進国における採鉱はすでに資源量は少なくなり、もっぱら途上国の資源に依存しているのが実態です。先進国で生産活動を続けている鉱山は、厳しい環境規制の監視のもとで進められています。ところが発展途上国では、環境規制の整備が遅れ、殆ど野放しの状況で採掘が行われていることから、前述した通り深刻な環境破壊が進んでいるというのが実情です。途上国に先進国並みの環境規制を求めると、先に豊かになった国の差別的な要求であると考えられ、受け入れることはできないという姿勢が示されるようです。先進国との経済発展の格差が、こうした事態をもたらしていると言えます。これでは、地球環境を保全するどころではありません。つまり、資本経済活動が比較優位・劣位の上で成り立っているという前提に立てば、先進国にとって発展途上国は、比較劣位の生産国として都合の良い存在と言えます。 

  1. 租税回避は環境保全投資に後ろ向きの姿

企業活動が国際化したことにより、コーポレートインバージョン(外国に親会社を作ること)により、事業活動の取引決済のあり方がより優位な国(オフショア≒タックスヘイブン≒租税回避地)を利用することで、利益の最大化を図りやすくなっています。つまり、それぞれの企業における納税のあり方も、コーポレートインバージョンを利用した決済手法を取ることで、当該企業が母国へ本来納めるべき税金を低く抑えることが可能です。母国に納める税金が少ないが故に、企業総体としてはより多くの利益蓄積が可能となる仕組みを利用しているのが、多国籍企業の現状と解釈できます。ちなみに、米国における実効税率は40.75%ですが、グーグルやスターバックスといった企業は、米国で支払っている支払い 税率は20%を大きく切っているのが実情です。これは日本とて同じで、図-1に上場100企業を対象にした2014年3月期の支払い税率実績を示したものです。当時の法定正味税率は34.62%で、米国に次いで税金が高い国と言われていました。この図から、実際に支払った税率が20%未満の企業数が40社(40%)、この内、支払っていない企業が4社、1%未満の企業が10社も存在しています。法定正味税率を満額払った企業は果たして何社あったかは定かではありませんが、30%台の税金を支払った企業が20社あったことになります[3]。いずれにしても、国は企業から法定税率を満額徴収することが難しいことを示しています。ちなみに、2016年の日本の法定正味税率は29.97%と、30%を割っています。

何故このようなことが起こっているのか、コーポレートインバージョンやダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ[4]といった手法で、租税回避が可能であることを利用できているのがこれまででした。これら行為がコンプライアンスとして認められるかどうか、多分にグレーであるとの見方から、現在、多くの国々でこの問題の解明に乗り出しました。パナマ文書は、企業、個人の租税回避手法や、マネーロンダリング等の実態が克明に書かれた機密文書で、このことから、企業活動のあり方が、すなわち資本主義経済システムそのものが、根本的に見直される必要性が指摘されるのではないかと見ています。 

  1. ベルリンの壁崩壊後のボーダーレス資本経済活動システムのあり方が激変

資本主義経済システムが自然収奪的なやり方であること、経済活動がボーダーレスになり、コーポレートインバージョン等の手法を使うことで、租税を回避するやり方が常習化している実態を考えると、それぞれの国家は、本来得るべき税金徴収額の捕捉が極めて不安定であることを証明しました。したがって、この事実を考えると、環境保全活動を促進すべき十分な資金(予算)の確保は、難しくなったというのが現実です。現在、世界の国々の環境保全活動への取組みを見ると、利益の使い道として、より事業拡大を追い求めるために使っているのが実際です。見た目では明らかに利益を生み出さない環境保全への取組みは、自ずと縮小されてしまうのが現実のように思います。ボーダーレス、ネット社会、国間の格差拡大は、環境保全活動をないがしろにする傾向が必然的な流れと見るのが妥当だと考えます。したがって、地球人類が本当に地球崩壊の危機を免れるには、現在の資本主義経済システムの徹底的な見直しが鍵と考えます。

[1] 谷口正次著「資源採掘から見る環境問題」p239

[2]「足尾鉱毒事件」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%B3%E5%B0%BE%E9%89%B1%E6%AF%92%E4%BA%8B%E4%BB%B6 

[3] 「高い法人税は実情とかけ離れている」http://editor.fem.jp/blog/?p=675

[4] 渡辺哲也著「パナマ文書」p44、p69

租税回避地(タックスヘイブン)の仕組みと地球環境問題への取組みの無力化

1.日本企業における“タックスヘイブン”の利用業と格差社会の拡大

ニコラス・ジャクソン著の「タックスヘイブンの闇」は、2年前に読み終えました。私はある意味で、資本主義経済の実態を全く知らなかったことに気づかされました。資本主義経済の実態を知るには、日本国内だけで事業していても分からない。海外で生産活動やセールスをする過程で、財務をどのように処理すれば最大利益が得られるのか、稼ぐ方法としては多様であることを、この本は教えてくれました。タックスヘイブンは、パナマ文書によって、すでに多くの人の知るところとなりました。日本語では「租税回避地」と呼ばれていますが、企業にとって誠に都合の良い仕組みが、全世界に散らばって存在しているものです。資本主義経済は利益の最大化を求めているが故、国によって税制が違うくらいは誰でも知っていたでしょうが、材料の仕入れにおいてそれを最大限にコストとして受け入れてくれる国があり、利益については最小限の課税で済む国がある。世界で活躍する多国籍企業にとって、この仕組みを使わない手はないと、誰もが考えることです。優れた財務マンとは、こうした世界の多様な財務処理を利用し、利益を最大に持って行く者を言うのでしょう。

租税回避地を利用したビジネスが、直ちに違法という訳ではありませんが、本来は本国でもっと税金を納めることが可能なのに、これを他国に留めて蓄財を図る。資本主義経済が利益最大を追い求める制度であるならば、当然、租税回避地を利用することは「有り」と言えます。これはケイマン諸島だけの日本企業のケースですが、日本の上場会社のうちの45社は同地を租税回避地として利用していて、その額はざっと55兆円に達していると説明されています[1]

どの企業のCSR室でも、「弊社はコンプライアンスに沿って事業展開を図っていますよ」と、答えられると思います。法には従っていますが、タックスヘイブンを効果的に使って、本国での節税を実現し、利益を最大にしています。すでに多くの学者が、資本主義経済システムは修正が必要だと説いています。米国は、1%の人間が99%の経済を握っていると言われています[2]。全世界で富の偏在、すなわち格差社会が拡大している。タックスヘイブンに見られるように、経済の仕組みに大きな課題があるとの見方が強まってきているのは、間違いないと私は考えています。 

2.米国の巨大企業の破綻ならびに日本企業の破綻がもたらした新たな波紋

米国の巨大企業であったエンロン[3]は、もともとは天然ガスのパイプライン会社として設立され、エネルギー需要の拡大に伴い急成長を遂げ、世界最大級のエネルギー卸売会社の登りつめました。しかし、売上高12兆円の絶頂期に、子会社との癒着、関連会社との不正経理や取引が明るみとなり、2001年12月に経営破綻を迎えました。負債総額は2兆円に及び、失業者は何と2万人にも達しています。米国の大企業の不始末はこれにとどまらず、国際通信会社の大手であったワールドコムも、企業の再編に失敗し、2002年に経営破綻に至っています。負債総額は、エンロンをはるかに上回る約4兆7千億円でした。

これら、エンロンやワールドコムの経営破綻により、企業の財務内容の透明性が強く求められ、企業の“コンプライアンス”や“説明責任”あるいは“ガバナンス”が厳しく問われるようになりました。これが企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)を明らかにする、自主的な情報公開制度に発展してきました。CSRは、もともとは企業の環境保全への取組みを重視したものでしたが、1997年にグローバル・レポーティング・イニシアティブ(Global Reporting Initiative:GRI)というNGO組織が、米国の非営利団体のセリーズ(CERES:Coalition for Environmentally Responsible. Economies)と国連環境計画との合同事業として設立され、企業の社会的責任レポートのガイドライン、すなわちGRIガイドラインの第1版を2000年6月に発行しました。現在では上場企業のすべてが、このレポート書式に従ったCSRレポートを一般公開しており、2013年現在、第5版が発行されています[4]

筆者の認識では、GRIガイドラインによる企業の社会的責任レポートが出される以前に、ISO 14001(環境マネジメントシステム)に従って活動していた企業の環境保全活動実績が、環境報告書としてまとめられ、一般公開されていたと見ています。日本の企業がISO 14001の認証取得を始めたのは、品質の国際規格(ISO 9001)の教訓から、1996年に発行されると同時に認証取得に動き出した実績があります。ISO 14001規格の認証取得件数は2009年がピークで約39,500件、2011年には26,700件と、32%も減少しています[5]。 この背景には、日本の中小企業の環境保全活動への取組みが低減してきたことが、大きな要因としてあると考えられます。ISO14001に伴う「環境報告書」が盛んに作られたのは、1997年から2002年頃までの5年間で、2003年以降は「CSRレポートが」が主流となってきています[6]

エンロンやワールドコム、あるいは日本における大手証券会社の山一証券の倒産(1997年)や鐘紡の倒産(2003年)等に伴い、CSR室は、当初は企業の環境保全活動に力を入れ、その成果を環境報告書として、主に紙媒体として広く公開していました。しかし、先のGRIへの認識の高まりに加え、環境保全活動の側面だけでは企業の責任を明らかにすることは不十分との認識の高まりが、経済的側面、さらには社会的側面、つまり企業総体の実績を簡潔にレポートする責任があるとされ、経済、環境、社会の3つの要素(トリプルボトムラインという)を含んだ「CSRレポート」、あるいは「環境社会レポート」という形に変わってきました。このレポートの性格として、環境保全への取組みに重きを置きつつも、経済的側面や社会貢献(コミュニティーへの参加等)の活動実績も取り込まれるようになってきました。

3.日本の多国籍企業のCSR室は2つの顔を持つ

筆者は、日本の企業で世界で活躍している多国籍企業のCSR室には、2つの顔があると常々思っていました。その一つは国内向けの顔で、二つ目は海外向けの顔です。

世界に進出した日本企業は、世界的なNGO、NPOによる厳しい目が注がれています。もちろん、これは日本企業だけに向けられたものではありませんが、事業の操業実態を常に厳しくチェックされており、例えば、児童労働問題や劣悪な環境での労働について、強い監視の目が注がれています。違法な行為が認められると、その情報はNGOによって瞬く間に世界に発信されます。多国籍企業は、海外における対応スタッフと、国内で環境問題や社会活動を進めているスタッフとでは、大きな緊張感の違いがあります。果たして日本のCSR室のスタッフは、「タックスヘイブン」のことを知っていたでしょうか。これはおそらく、CSR室が取り組むテーマではなく、財務や企業内の特殊なチームが取り扱っていたテーマだと考えます。

タックスヘイブンを利用したビジネスが、直ちに違法という訳ではありません。コンプライアンス上は問題なくても、タックスヘイブンが造り出す莫大な企業利益は、倫理的な側面からはどうなのか、新たな課題として持ち上がったテーマだと言えます。前述した通り、日本の上場企業でケイマン諸島におけるタックスヘイブンを使用している企業は45社に及び、その額も55兆円と高額です。また、米国の1%の人間が、99%の経済を握っているという実態を見れば、全世界における格差社会が、加速度をつけて広まっていると見ることもできます。

4.資本主義経済社会における「パリ協定」は、画餅に過ぎない危険をはらんでいる

2015年12月に「パリ協定」が採択されました。地球温暖化対策に向けて、米国と中国が合意し、これは画期的なことと世界の関係者は喜んでいます。しかし、喜ぶのはまだ早いと考えます。まず、京都議定書が採択されてから発効されるまでには、7年も掛かりました。この経験を踏まえると、「パリ協定」が実際に発効するまで、まだ道のりは遠いと考えています。加えて、何故このタイミングで”タックスヘイブン”(租税回避地≒パナマ文書)という大問題が発覚したのでしょうか。私達が合理的であると受け入れた資本主義経済システムでは、早晩、地球上の人類ならびに多くの生物が大きなストレスを抱えることになり、必然的にカタストロフィーを迎えるということの警鐘と読み取れなくはありません。自然収奪型経済システムの終焉のテーゼとして、タックスヘイブンが露見したと見られなくもありません。

イギリスのNGO組織が進めるカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)や、グリーンピースが進める環境問題への尋常ではない抵抗活動等、これらはタックスヘイブン問題のカモフラージュとして、位置付けられた活動なのでしょうか。日本のNGO、NPO組織が、薄給をものともせず頑張っている姿を見ると、現在の企業活動≒経済活動は根本的に見直されなければ、早晩、地球崩壊は免れないのではないか、と気掛かりなのは私だけでしょうか。

[1] http://editor.fem.jp/blog/?p=675

[2] 「Newsweek」http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2013/09/99-1.php

[3] 「エンロン」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%B3

[4] 「GRIとの連携GRIガイドラインの理解と普及」http://www.sustainability-fj.org/gri/

[5] 「環境問題の自主的取り組み」https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2013_11.pdf 74

[6] 「日本工業標準調査会 標準部会・適合性評価部会 中間とりまとめ」http://www.meti.go.jp/press/2013/04/20130430002/20130430002-3.pdf

 

谷  學 50年の公害歴史を閉じる

拝啓 5月も半ば、季節はもう夏です。関係者の皆様には、益々ご健勝の段、お慶び申し上げます。

さて、私、谷は、この3月31日を持ちまして、グリーンブルー株式会社の代表取締役を辞し、取締役会長に就任いたしましたことをお知らせ申しあげます。会長と言っても具体的にテーマがあるわけではなく、実質、第一線から身を引いたに等しい状況にあります。さらにこの夏には、取締役も辞任し、全くフリーの身分となります。在任中は、関係者の皆様には、一方ならぬご愛顧を賜り、改めて、心から感謝申し上げる次第でございます。

顧みれば、1972(昭和47)年に同僚と立ち上げた(株)日本公害防止技術センターが置かれていた状況は、丁度1970(昭和45)年の公害国会、そして71年に同国会で成立した法案に沿って、環境庁が誕生しております。私どもの会社が産声を上げ、環境測定分析ビジネスを始めた初期は、まだ、環境法律が地方自治体へ浸透せず、ましてや民間企業には公害条例の内容が行き渡っておらず、営業活動を行っても警戒されるのが実態で、仕事を頂くことが極めて難しかったことが思い出されます。結局、私が以前に在職していた(財)日本環境衛生センター時代に知り合った方々のお世話になり、曲がりなりにも業務をスタートさせることができたというのが実際です。あの当時に知り合うことができた多くの先生方のお力添えがあって、会社は船出をすることができたと思っています。

 会社は、高度経済成長の波に乗り、順調に成長し、1992(平成2)年に満20周年を迎えた折りに、コーポレート・アイデンティティー(CI)活動を通し、社名を(株)日本公害防止技術センター(NIKKOBO)からグリーンブルー(株)に変更しました。この社名変更に至るまでの経緯があります。仕事の確保は問題ないが、人、物、金という経営資源をどう使って、事業をなし、成長を続けるべきか、悩んだ時期があります。それは、会社発足から12年が経った1984(昭和59)年頃から、「経営とは何だ」と考えるようになりました。肩書に取締役を拝しながら、経営の「け」の字も知らない状況でした。それまでは、(財)日本環境衛生センターで得た測定分析の技術・知識、加えて関係者によって成り立ってきた組織で、その運営のあり方はどうあるべきかと、勉強を開始したのが昭和59年頃でした。記憶にあります「糸川秀雄博士」の経営セミナーを皮切りに、経営のビデオを片端から見続けたりしました。企業経営と言えば、当時「産能大」が有名で、同大学の「戦略ゼミ」にも通いました。CIの導入は、経営技法をパソコンソフトで指導するセミナーに出会い、ここで知り合った講師の加藤邦弘氏に、日本公害防止技術センターの経営分析をお願いし、財務、営業のあり方、個人個人の目標設定等、当時の経営資源全体のコンサルティングを通して、その結論がCI導入となった次第です。「グリーンブルー」は、良いコーポレートネイムであり、ロゴや企業理念、経営方針など立派なものができ、NIKKOBOは生まれ変わった。それが1992(平成4)年でした。

その後、私は1995(平成7)年5月に、業界団体である(社)日本環境測定分析協会の会長に就任する機会を得ました。会長の指名を受けて直ぐ、小規模の米国環境ラボ視察団に加わり、米国の先進的な環境ラボのいくつかを実際に視察しました。日本の環境測定分析ラボのITと標準化の遅れを痛切に感じ、帰国後直ちにレポートにまとめ、日本環境測定分析協会の全国7支部を回り、米国事情を報告すると同時に各種ISOシステムの導入の必要性を説いて回りました。これは、私が業界の発展に大きく貢献したものの一つであると思っています。

丁度この頃に、有害化学物質の多項目規制がスタートし、業界のフォローの風とも重なり、日本の測定分析会社は、まじめにISOの取組みを進めた姿が記憶にあります。グリーンブルーにとっては、米国視察で、デンバーにあるカンテラ社(当時)とダイオキシン分析サービスでアライアンスを組むことができ、数年に亘ってダイオキシン業務で活況な時期もありました。

私が在籍していた43年間で、グリーンブルーは1996(平成8)年6月に11億6千万円、次いで2015(平成27)年6月の11億6.5千万円がピークでした。グリーンブルーの売上高推移は、日本の名目GDPの推移と極めて良く一致しており、この状態を見て、ある経営コンサルタントが日本の経済状況は「茹でガエル」状態だと説明されていました。私は、極めて的を射た表現だと思い、わが社の事業も、いうなれば「茹でガエル」状態だということを改めて認識した次第です。

こうした折、メインの取引銀行さんの仲介で、グリーンブルー株式会社を買いたいと申し出ている会社があるとの紹介をいただき、相手の社長さんとの面談後、急転直下、買収の話が進み、2015(平成27)年12月に売買の基本契約が成立し、2016(平成28)年4月1日を持って、オーナーの変更とともに、私、谷は取締役会長(形だけの役職)となった次第です。私の引退は、まだまだ早いという方もいらっしゃいましたが、「茹でゲル」を何とかできない経営者は、すでに時代(環境)適合が難しいことを証明しているものであり、私の出番は終わったなとの思いに至った次第です。

新たなオーナーならびにグリーンブルーの経営陣は、若い者で布陣しましたので、これからの成長が期待できるのではないかと思っております。

ただ、日本の国ならびに地方公共団体が進めております環境大気モニタリングに、大きな問題点があり、これを改善させられなかったことが心残りです。「計量法」(度量衡)には、長さ、重さ、ある力、温度等々、国家標準があり、私達が使っております「指物・秤」(計量器)は「計量法」で管理されており、信頼できるトレーサビリティー体系で運用されています。大気汚染物質を図る自動測定機には、オゾン計にはマザーマシン(基準器)があり、これにトレーサブルであることが求められています(但し、オゾンのマザーマシンはありますが、現場における校正手順は、地方公共団体や業者でまちまちです)。他の硫黄酸化物計や窒素酸化物計やPM10やPM2.5等の校正は、標準とのトレーサビリティーが不十分であるのが実際です。私は、これを世界に通用する仕組みで動かすべきであると訴えてきましたが、これらについて改善する動きは見られません。これだけは“やり残した”テーマだと思っています。

いずれにしましても、4月1日からはお飾りの取締役です。加えて、8月の株主総会絵では、正式にグリーブルーとは縁が切れることになります。関係者の皆様には、本当にお世話になりました。なんとお礼を申し上げればよろしいか、私の人生で、大きな関わりを持っていただいた方々の存在があって、初めて、これまでの私があったと認識しております。改めて、心から感謝申し上げる次第でございます。

                                       敬具

2016年5月23日

                                     谷  學

企業経営管理講座を終えて

4月16、17、23、24、5月7、8、15日の7日間にわたって、午前10時から午後4時まで、みっちり「企業経営管理講座」を受講し、無事「終了証書」を受け取った。この講座を受講してみようと思った動機は、自分が関わった会社の業績動向が、見事に日本のGDP(国内総生産)の動きと一致していることに、かねてより疑問を持っていたことが原因だ。一時はIPOも考えて時期もあったが、どうしても12億の壁が超えられなかった。この状態を、企業経営講座の講師は、「茹でガエルの状態だと」説明した。12億の壁を超えると20億は、現実のものとなると考え、いろいろイノベーション戦略に挑戦した。肝心な両輪の片方であるマーケティング戦略(中小企業の成長戦略)が、思うように動かせなかった。イノベーションセンスを基に、新規のサービスアイディアを造り出すまでは行くのだが、顧客の声を聞きだす、また、顧客の価値観を揺さぶるまでには行かなかった。つまり、マーケティングが戦略にならす、社内における旗振りだけで終わってしまった。このやり方では、会社は成長軌道に乗せることができないと考え、自分の歳のことも考え手放すことにした。

自分の脳の中にある世の中のニーズは、かならず顧客のニーズでもあると信じて、せっせと情報を仕入れ、理解のために猛勉強をしてきた。しかし、残念にも社員を巻き込めない自分がいることに気づいた。一人で行える事業は、たかが知れている。80人もの社員を巻き込めれば、きっとでっかいビジネスができる。そう信じて取り組んだが、イノベーションとマーケティングの両輪が回すことができなかった。言うまでもなく、両輪が機能しなければ、企業を成長軌道に乗せることは難しい。

今回の研修は、自分が43年間事業を進めてきたことのレビューの意味で、経営のイロハの勉強をし直してみようと思い、行動を起こしたものだ。日本の産業政策について、もっと早く気づいていれば、成長軌道へ乗せることは夢ではなかった。少し気づくのが遅かったと、猛省している。エネルギー、気候変動、食糧、水の世界にビジネス機会があることは間違ない。しかし、政府の産業政策を活用し、ICT、IoTに結び付けたビジネスモデルを構築し、動かす力が足らなかった。私は、アイディアを紙の上に落とせる力は、今でもあるが、レバレッジを使って、飛躍させる手法を見逃していた。日本の大手企業が海外に出てゆく、それについて行ける中小企業は、優れた企業である。しかし、取り残された中小企業も国内で生き残るための成長の芽を育て、持続する必要がある。そうすることで、国境を超えたビジネスチャンスは、巡ってくる。少なくとも自分が関わっていた企業には、十分にその可能性はあった。

いずれにしても、私にとって、充実した7日間であった。機会をいただいた関係者に皆様には、感謝の一言である。。

日本人は、何故、食品を粗末にあつかうのか

食品リサイクル法は、2001(平成13)5月に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」[1]で、年間100トン以vvvvv上の食品廃棄物を排出する食品工場や、ホテル、ファーストフード、スーパーマーケット等の大手食品関連事業所に適用されるものです。この法律の施行目的は、2001年を起点に、2006(平成18)年までには年間排出量を20%削減させるものでした。法律の施行後5年が経過しても、食品廃棄物の排出削減目標は残念ながら達成されず、その現状に鑑み、2007(平成19)年には、食品リサイクル法の一部改正が行われました[2]。図-1には2001〜2005(平成17)年の事業系と家庭系の食品廃棄物量の推移を示しました。

図-1 家庭系、事業系食品廃棄物の排出量推移

(単位:万トン)

ちなみに、2001年の家庭系食品廃棄物量は1,250万トンで、一方の事業系廃棄物量1,100万トンを大きく上回っていました。法改正に伴う削減は事業系食品廃棄物1,100万トンが対象で、削減目標値-20%は880万トンとなります。しかしグラフから、事業系食品廃棄物は、2002(平成14)年には前年度よりも若干増え、以後、横ばいで推移していました。家庭系と事業系の食品廃棄物量を合算すると、2001〜2005年までは2.100〜2,350万トンで推移しており、年平均では2,200万トンレベルの食品廃棄物が出ていたことが分かります。

[1]「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」https://kotobank.jp/word/%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%[2]「食品リサイクル法関係省令が一部改正されました」http://www.dowaecoj.jp/houki/2015/20150901.html

 

以後は、添付の文献を見られたし。

『ファインバブル(水質技術革命)が養豚排せつ物処理の世界を変える

微細な気泡(ファインバブル:Fine Babble)が、私たちの食糧生産を助けるより持続可能な技術として認知されつつあります。ここでは初歩的な実験室実験における、養豚排せつ物(豚尿)の効果的な処理実績について、報告をさせていただきます。

 “ファインバブル”(微細な気泡)という言葉は、最近多くの人々が耳にするようになってきたと、筆者は認識しています。海の回遊魚である「はまち」の養殖や、内陸の温泉地域での「トラフグ」の養殖、さらに「エビ」の養殖についても、内陸の河川流域で養殖する技術も確立されています。加えて、野菜(葉物や苺など)についても、屋内で栽培する水耕栽培が盛んに行われるようになってきています。私たちが必要とするこれら食糧の栽培・育成方法が、大きく変貌を遂げようとしています。これらを可能にしたのは、栽培・育成に欠かせない水の革命、すなわち“ファインバブル”をより多く水中に送り込む技術の進歩です。つまり、必要とする「水質の技術革命」がなしえたものと、筆者は見ています。“ファインバブル”の登場により、水中の酸素濃度を従来の1.5倍も高めることに成功した。この技術革命により、「動植物の育成・栽培手法に革命」が起こったと、私は考えています。

以上のように、“ファインバブル”がしでかす現象が、徐々に解き明かされつつあります。水中に酸素濃度を高めることは何でもないようですが、従来の技術では莫大なエネルギーを使っても、常温水(15〜25℃)における飽和酸素濃度は8㎎4/ℓ〜<10㎎/ℓでしかなかったのが、ファインバブルを使うと1.5倍もの飽和酸素濃度にすることが可能となりました。しかも、使用するエネルギーは、従来の1/2〜1/3で可能です。

様々な分野で利用が高まり、認知度が急上昇しています。ただし、“ファインバブル”がしでかす事象の根拠を、技術的に説明した資料はいまだ極めて少ないのが現状です。

 ここでは、「豚尿の浄化試験」にファインバブルが、有効な技術であることについて、日本初の浄化試験資料を紹介します。この技術資料は、あくまでも実験室実験におけるデータに基づくものですが、数ミクロンサイズの“ファインバブル”が、豚尿を効果的に浄化する有望な技術である証拠のいくつかを明らかにできました。詳しくは「技術報告書」(参照:http://os-lab.info/wp/wp-content/uploads/2016/01/10142672e910352dac540973dc25b8de.pdf)をご覧ください。“ファインバブル”に期待する特徴的な技術は、次の①〜⑤に示したものです。ファインバブルは、従来の活性汚泥処理法におけるバブルアシスタントとして、十分に期待できる新技術であると、筆者は考えています。

  1. 省エネルギー:従来の曝気装置の一部をファインバブル発生装置に置き換えることで、電力消費量が削減できます(既存施設の改造を殆ど必要としません)
  2. 省資源化:汚水処理は、BODやSSの負荷を下げる意味で水による希釈が望ましいが、従来のそれよりは少量で可能です
  3. 悪臭の減臭:汚水中のファインバブル(微細気泡)が、臭い物質であるアンモニアの消化反応を促進させ、尿臭は見事に減臭します
  4. 排水基準を満足する適切な汚水処理:従来の活性汚泥処理レベルの水質浄化が実現できます
  5. 余剰活性汚泥の縮減:処理水中の飽和酸素濃度が、従来手法の1.5倍もあることから、酸素による汚物の分解促進が同時並行的に起こることから、余剰活性汚泥の発生量が抑制されます。